2014年5月15日木曜日

高橋コレクション展で志賀理江子のプリントを初めてみた@名古屋市美術館

下の近況でも少し触れたが、
今日は名古屋市美術館で6/8までやっている
高橋コレクション展を見に行った。
何人もの人がFB上でレポートしてくれた展覧会だ。
僕の目的は、2月以来大ファンになった志賀理江子のプリントを見ること。
あいちトリエンナーレ2013でも展示されていたそうだが
見損ねていた・・・ってか、その頃は志賀理江子を知らなかった。
ファン心理もあって、初見のそのプリントは衝撃的だった。
写真集「螺旋海岸」を見て、
この人は日本のシリアスな写真分野において
森山大道以来の大物という印象を持っていたが
改めて、その意を強くした。
その制作手法と言い、21世紀前半の日本を代表する
世界的な写真家になることを十分に期待させる。
(既に、半分その位置に居ると思うが)
誰とは言わぬが、同時に展示されていた
有名な女性写真家の写真が薄っぺらく見えた。
グルスキーの写真はとても上手くて面白いが
志賀理江子の写真の前で感じる戦慄はない。
志賀理江子以外の日本の現代美術にも
かなり「震え」を感じさせてもらった
現代美術は時々見ているが、高橋コレクションという
一人の人間の感性のフィルターを通して集められたものは
論理的な分類や、誰かというくくりで見るよりも
感じるものが多かったように思う。
そういえば、そんな話みゆきちゃんのFB上だったか?
小池くんとかがキュレーター云々という話題で盛り上がっていたっけ。
要するに、人の目ということかな。
ヴェネツィアの現代美術館で日本人の作品を見ると
意味のなく愛国心が沸き上がってくるが
今日もそんな気持ちが、グローバルというより少し湧き上がってきた。
「高橋コレクション展」、グルスキー展よりオススメです!
解説できるほど現代美術に造形はないけど
日本現代美術のエッセンスだったり、ダイジェストだったり
初心者に見やすい展覧会だと思う。
写真にも少し説明を追加しようと思っているので
興味のある方は、一枚一枚写真もご覧いただけると幸いです。

↑の2枚、会場の入口で自由に写真取れるようになっている
モロモロアップもOKだそうだ。
↑↓、会場を一巡した後
お腹が空いたので、再入場前提でご飯を食べに伏見の「でっち」といううどん屋に向かう途中。
気分がとってもアーティに高揚していて撮った写真
ま、あらためて見ると「ふーん」ッて感じだけど。
↓この写真もうどん屋への道すがら、きもの屋さんのウィンドウだと思うが
このポーズ、妙に色っぽいというか
花魁みたいでキモノの広告写真らしくないなっとスナップ。

↑アーティな気分の高揚は続き、
美術館を後にして駐車場に向かう途中の白川公園をスナップ。
嗚呼、志賀理江子様!って気分だ、
↑さて、スタジオに戻って
志賀理江子の螺旋海岸ノートという制作ノートで美術館に展示されていた下の写真の
制作背景を女房に見てもらった。
実はこの制作ノート、買ったけど僕はほとんど読んでおらず
女房が整体屋さんで待ち時間にほぼ半分読んだそうなので
カメラは何を使ってるか?っと調べてもらおうと見てもらったんだ。
この十字架のような樹木をかついだ老夫婦の写真
現物の大きなプリントを見るとわかるのだが
樹木が老人男性の胸を突き抜けているようにみえる。
女房はこの写真の製作過程を読んだ記憶があるというので
もう一度読み返してもらうと、
根っこから抜かれた樹木を途中で一旦切り
その上部を老人が持ち、後ろの根っこの部分は
クレーンで釣り上げているとのこと。
志賀理江子の写真、技術的には稚拙に見えるほど
ストロボ直焚きのストレートフォトだが、実は相当仕込んである。
興味のある方はネット上でもいくつか解説を見つけることはできるが
この人は、イベントそのものを仕掛けて
それをドキュメントのように撮るという製作手法で撮っている。
しかし、クレーンを使って一種特殊撮影のようなことをするほど巧者であったとは!
もう一枚超有名な、暗い砂浜に轍が螺旋を描いている写真
大きなプリントを見るとかなり解像度が高いことに驚いた。
フィルムなら4X5に近いサイズが必要だとおもうが
切れ味から言うと、デジタル臭くも見える。
グルスキーの写真が想像した以上に解像感が甘いと感じたのとは逆の驚きだった。
志賀理江子のような世代でこういうファインアートをする人は
フィルムカメラを使っているだろうと、勝手に想像していたが
フィルムカメラも使っているように見えるが
あの砂浜の写真は違う、、、と思う。
もう一枚、カナリアという今は新品で手に入らず、
中古本が数万円で売買されている写真集の「予知夢」という写真
写真なのか?絵画なのか?、大きなプリントを見てもわからない。
意図的にか?その写真は高いところに展示されており
よーく近づいて見られなかった。
「カナリア」という志賀理江子の写真集、超欲しい。
っていうか、「カナリア」「Lily」の増刷または再刊を切に望む。
(これだけの期待される大物だから、十分有り得るだろう)
そうだ、志賀理江子を知らなかったのも
僕の至らぬところだったけど
今回の「高橋コレクション展」では、
もうひとり「やなぎみわ」という写真家を
初めて知った。
この人の作品、ガラスのむこうに展示してあって
もっと近くで、もっと明るく見たかった。

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