2008年11月26日水曜日

「ザッテレの河岸で」

amazonから、注文してあったヴェネツィア本が3冊、届いた。
須賀敦子著「地図のない道(ザッテレの河岸で)」「ヴェネツィアの宿」
大竹昭子著:「須賀敦子のヴェネツィア」
本来ならば、順番に買い求めるべきものだが
アマゾンのお薦めに乗せられて、三冊一緒に注文してしまった。
もう一つ、来年2月に彼の地を再訪したいと思っている僕にとって
順番に読み、注文している時間が無かったからでもある。
先ほど、須賀敦子の著書を読む端緒になった「ザッテレの河岸で」を読み終えた。
冬のヴェネツィアが舞台になった随筆で

不治の病の人々の水路と名づけられた水路との出会いから始まり
15世紀、コルティジャーネと呼ばれたヴェネツィアの高級娼婦の話へと続く
冬のベネツィアの湿った風を感じさせる「重い」読後感。
僕の気持ちも重くなる、
3度目のヴェネツィアで、僕は何を撮れるのか?
K君がブログに書いていた
(僕のことを揶揄してかどうかは不明だが)
「ヴェネツィアのカーニバルに仮装した日本人が増えるのも、なんだかねぇ」という感想。
(ちなみに、ぼくは仮装するわけではなく、ただのその空気を味わいに行くのだが)
カーニバルの観光写真を撮るでもなく、
ヴェネツィアの建築写真や風景写真を撮るでもなく
さて、憑かれた様に訪れようとしている彼の地で
僕は何を感じ、どんな空気と出会うのか?
2006年2007年と撮った写真とは違う写真。
なぜ僕をそこまで誘うのか?
その正体が撮れるのだろうか?
まだ読んでいない須賀敦子の他の随筆を読み進むこととともに
すこし重い気分が、楽しいはずの旅行を覆い始めている。


僕は塩野七生の「海の都の物語」で、ヴェネツィアの歴史を学んだ。
須賀敦子のヴェネツィアは、塩野七生のヴェネツィアほど
乾いた文体で描かれてはいない。
塩野七生の文章は、例え哀れや悲惨な場面を描いても
戦史のそれのように、雄雄しさに裏打ちされているような気がする。
あえて言えば、男の文章だった。

さて明日、「静かな生活」の第一色校が上がってくる。
カバーデザインについて、デザイナーのT君、出版社のRさんから
矢つぎばやのメール、こちらの出来にも不安はある。

0 件のコメント: